Cブロック感想+推理

果てしなくあらすじの様な感想と激しく暫定的な推理その3。
ネタバレについてあんまり配慮して無いんで、その辺を承知の上でどうぞ。





C-1“毒”
じいさまの仇が討ちたくて反政府組織に身を投じた青年。逃げて訳の分からぬままかくまわれた食堂でメシを喰う。……いや、どうもこのメシを食うシーンが妙に記憶に残ったモンで。
最後にタイトルの意味が分かる話。そしてちょっとシニカル。特に食堂のお嬢さんの兄貴に関する部分が皮肉と言うか。
人々が現状にあまりにも無関心な素振りをするのが嫌で何かをせずにいられなくなったってのが分かる気がする。知ってしまったが故に行動しなければいけないと言う義務感みたいな。
C-2“舞夜空(まいよぞら)”
足が動かないので盆踊りに混ざれない少女。そんな彼女に青年が声を掛けてくる。
お盆と言う時期ならではの話。生者は地上で、死者は夜空で舞い踊る。夜空での光景が見える青年も、或いはと思わせる。
C-3“ジンニーと魔法の絨毯”
とにかく後宮を逃げようとするイキのいい女の子。しかし毎回の様に失敗続き。今度は魔法の絨毯で逃げようとするが。
アラビアンナイトの1話として紛れ込んでそうな話。一応らぶこめかな? これもまた籠の鳥ネタとでも言うべきか。しかし鼻毛を飛ばすジンニーがイカス(そこかよ
C-4“起源の探査”
人類の起源を探し求める探査船。探査船の観測員は言語学的な興味から志願した人物で。
SFモノ。()でルビをふってる。“空”と言う言葉の意味を巡って交わされる会話が面白い。
C-5“クウジュ”※注
笑いたくもないのに笑っている自分。だけど泣くと空から雨が降る。ガラス張りの丸いドームに閉じ込められた彼の存在理由とは。
ダークな話。タイトルには2つの意味があったんだね。天候に左右される感情。感情に左右される天候。天候を晴れにする為だけに彼には薬が打たれる。だけどそれでも彼は自我を、感情を捨てられなかった。故に訪れる死。どちらにしても、施設は新たな能力者を求める。所詮彼は実験動物と変わりは無いのだから。
C-6“ボクらの、冒険前夜。”
僕らの家族は空に取られてしまったとおばさんは言う。双子の兄は空に呼ばれていると言った。一緒に行こうと言われて、僕は。
前半の双子であるが故に比較されてしまう所が何とも。片割れの方が出来がいいと尚更厳しいんだよな、比較される方は。でも打算的で何が悪い!ぐらいの気概で生きてくれ。
C-7“鏡よ鏡”
愛犬が死んで以来心の底から笑えなくなった女の子。体育祭の実行委員で一緒になった先輩の笑顔に惹かれてつい、手作り弁当に挑戦してしまいました。
っちゅーか弁当貰ったからって見せびらかしますか先輩。クラス全員に回覧されたのは微笑ましい自業自得だ。
“「だって、愛想笑いしかしてなかったでしょ?」
 ――吃驚。”
のやりとりにちょっと引っ掛かりを感じる。
C-8“Deserter's 45 minutes”
神懸かり的な戦闘機乗りの中尉と、それ以上の腕を持つ天才少女。しかし2人は最後の任務で姿を消す。残ったのはイトマキエイと呼ばれる戦闘機のみ。終戦から2日後、肝試しにイトマキエイがある格納庫へ行って見ると。
格納庫で兵士達が見たのは現実にあった事柄なのかもしれない。でも誰にもそれが本当かどうかは分からない。“約束ってのはそういうもんだ。”ってのが何かいいね。
C-9“私と私の黒のこと”
黒しかない私の世界。そして世界は伸縮自在。だけど空と言う物について説明されても理解不能だ。
最初の説明文でああこの人は目が見えないんだな、と分かる。そんな目の見えない人物と、作家を目指す友人の話。これもある種の認識論の話だよなあ。
C-10“てるてる坊主の気持ち”
俺の名前は「てるてるくん」。恐らくは多分14個目に作られたてるてる坊主。13代に渡る申し送り事項も恐ろしいがそれより不満なのは先代まではクールっぽいコードネームだったのに、何で俺だけこんな名前なんだ!
コミカルな冒頭から一転、てるてる坊主を作っては首をちょんぎる女の子の事に話が変わると、一気に話がシリアスに。しかしてるてるくんは挫けなかった。ぶっきらぼうな言葉で女の子を叱咤する。頑張れ負けるなてるてるくん。
C-11“ふりさけ見れば春日なる”
帰郷したおねーさん。付き合ってる彼からプロポーズされたが、答える事が出来ないままに。
故郷の空と東京の空のあまりもの違いに、プロポーズに答えられない女心。でも電話越しの会話で、見上げる月は同じ事に気が付いて。最後のセリフは、承諾の意味なんだろうなあ。
C-12“三つ葉
仕事人間であったが為に妻に置いて行かれたサラリーマン。酔っ払った末に行き着いた店は、奇妙な所だった。
仕事に没頭するあまり、大切な何かを忘れてしまった男。それに気付いた瞬間、心が寂しさで満たされる。そうして酒に逃げる。
その寂しさは自業自得でもある訳で。しかし大切にするべきものを気付けないままならそのまま堕ちるだけの人生だったろうな。最後はどうやら変われた様だけど、また同じ事を繰り返したら、その時はどうなる事やら。


さて、ここからは推理してみますかと言う事で。


マル太(たまには道草いつも道草)
何か2回目の時の感想で見事なまでに戦争絡みのネタを避けていたのが記憶に残ってるんですがそれはさておき。
この人の感想の方でもよく見掛ける語尾の“――”の表記。これが小説の方でも結構出て来る。かなり目に付く。
Cブロックの中でこの表記が特に目に付くのは4。次に11。まあ必ずしもそうとは限らないかもしれないけど、とりあえずメモとして。


よもぎの森(よもぎの森)
前回は“星の実”。村を出た幼馴染みの少女は1人の女になっていた。そして木の実から出てくる星々を見ながらほろ苦さに代わった思い出に泣く1人の男。
1回目のが“花のケーキ”。女王に献上するケーキはどんなモノ。
“悩める魔女試験”は魔女になる試験の為にホレ薬を作った話。姉弟のキャラが何となく“星の実”の2人に被る気が。特に弟。
“お母さんの手”は母親が死んでしまった事を認められない女の子の話。
とりあえず8だけは無いと思う。


羽津樹 透夜(Dancing Dream)
現代恋愛モノしか書いてないらしい。
“ピリオド”は年の差らぶこめ。うん、まあ、はるにぃ、がんばれ(肩ぽむ
“二人の夜”は天文同好会に所属する童顔がコンプレックスの大学生のおねーさんと、足を怪我して運動が出来無くなった青年の話。なんつーかもどかしい系?
とりあえず現代恋愛モノと言う事で、暫定的に11を当てはめてみる。


宮武鳴(窓辺の語り部
現在カナダ留学中って。そしてカントリー音楽がお好きらしい。
モンテ・クリスト伯”の感想が面白過ぎ……。
“A Mathemathics Girl”は数字や数学が三度のメシより好きな少女の話。不安ですらパーセンテージで表し、飛行機の翼のズレ具合まで見抜いてしまう驚異の能力。いやあこの子いいなあ。好みだー。ルビに()を使ってる。
“宿業の双子”はシニカル。徐々に生命力を失い行く双子の姉と、逆に生命力に溢れて行く弟。そして最期の時を悟った姉が弟に明かした自分達の存在理由とは。
“The 7th Wolf”は少し不思議な話。奇妙な夢を見る青年と、巫女の素質を持つ島の少女。7番目の狼は狩った6番目の狼の皮を被るって事は、青年はそういうモノだったって訳か。
“わしらはかみさま”はばーちゃんの後を継いで巫女になってしまった青年の話。とりあえず1話目だけ読んだ。かみさまぷりちー。
“セイレーン・ソード”はわりと正統派なファンタジー


鶏米チャボ(チャボの庭)
前回のが“勝負”。時代劇だった。結局敵討ちを決めるまでの10年の歳月。
今回の没が“てるてる坊主”。明治辺りが舞台と思われ。村人達が吊るして行くてるてる坊主、しかしその原形は? ちょっとダーク入った話。
“吸血鬼はイタリアに住む”は現代吸血鬼とその日本人メイドのノリのいい話。面白いけど長いから後でゆっくり読むってコトで。
没を踏まえると10って気がするんだけど、ストレートにそのネタを使ってくるかどうかが悩ましい所。


深海いわし(雨の庭)
前回が“花に星”。花街が舞台で、最終的に追われる者になった宮廷魔術師と花街の孤児の話。サイトの方にはじさまの出て来る加筆修正版があったけど、このじーさんがまたいい味出してる。
最近読んだ本で〜の所で答えているのが「日本人はなぜ狐を信仰するのか」……えーと。
今回のはずっと書きたいと思っていた話らしい。しかし自分のときめきに忠実に正直に書きたいものを書きたいように書いたとの事。
基本的に恋愛ファンタジー書き?
冬の花火”の最後の1文がイカス。
“Water talks - Homesick”は後でゆっくり読みたいなあ。
何となく12かな、と思った。


天菜真祭(Sequence お話の欠片)
前回のは“願い星が降る夜に”。交通事故に遭って記憶を無くした少女とそれを見守る少年の話で恋愛モノ……と、思う。
ファンタジー幻想小説系をよく読む様だ。
とりあえず参考に読んだのは“魔法機環の少女”。SF入ったファンタジーみたいなノリ。ちょっとだけ恋愛要素もあったか。


土岐(Crooked 100 Miles)
意気込みが読んでて面白。
クドリャフカ”は例の犬の話。結局この企画に出さなかったモノらしい。
“プロメテウス”も例の神話になぞらえた話。
他の話も割と幻想的な印象のが多い。
何となく8かな、とは思うんだけど。どうなんだ。


梅原タロ(緑のイルカ通り)
自分では純文学に振り分けたくない類のモノを書いているらしい。オフラインでは脚本も書いてるらしい。演劇もやってて、大学では哲学を専攻、と。
日記の方の記述で“あと、ぼくは書くときにあんまり言葉の順序をちゃんとしないように気をつけてます。”とあったのをメモ。
“こんにちは、世界”は畳のささくれから始まる話。とりとめの無い1日。
他のもざっと読んでみたけど、やっぱりとりとめの無い印象。
となるとタイトルの付け方も含めて、1番しっくり来るのは9か。


文月夕(花迷路)
よく書くジャンルはあえて言うなら恋愛モノらしい。
“枚数制限を半分に誤解していて書き込みを抑えまくっちゃった”って。
思わず読み切ってしまった“宝珠物語:白珠の巫女”は女騎士と男の巫女の恋愛モノ。
“神官カイルの旅道中”も女と間違えられてばっかりの青年の話。
“Century20”シリーズは伝奇モノ、かな?


柳暗波瑠(月影草)
意気込みによると“「覆面」企画なのに自分をもろに曝け出した”らしい。
ざっと読み漁ってみて、それに1番近いのは5か? ネーミングセンスも含めて。


凌雪(ハミング6%)
一応フェイクは掛けてないらしい。基本ジャンルは異世界恋愛ファンタジーらしい。
“リズム師”は塾の手前の信号が赤で遅刻決定してイライラしながら足を踏み鳴らしてたら妙な男に「いいリズムを刻んでいる」と言われた話。
“舞花”は美少女の親友を持つ女の子の話。実は何度も転生してその度に結ばれなかった2人と言う設定の、ある種の悲恋モノと言うか。
“聖の空”は生まれたばかりの妹が何を見て笑っているのか気になる10歳の女の子の話。そーいや短編3つとも女の子の1人称だな。
女の子の1人称、と言う意味では7辺りなんだけど。


とりあえず9は梅原タロさんで確定していいと思う。
この他暫定で4がマル太さん、5が柳暗波瑠さん、7が凌雪さん、8が土岐さん、10が鶏米チャボさん、11が羽津樹透夜さん、12が深海いわしさん。
まだ見当がついてないのがよもぎの森さん、宮武鳴さん、文月夕さん、天菜真祭さん。そして残ってるのが1、2、3、6。しかし深海いわしさんの“自分のときめきに忠実に正直に書きたいものを書きたいように”ってのを考えると、3もありそうな気がするんだよな。そうすると12もフリーになる訳で。
雰囲気からすると、2は文月夕さん辺りが書きそうな気がする。枚数制限の誤解も含めて考えるとこの短さも分かる様な。それと不思議系の話の書き方から、6は宮武鳴さんだと予測する。
12が深海いわしさんじゃないとするなら、残った中で1番書けそうなのはよもぎの森さんだと思う。すると残りは1と3。3はどっちかってったら天菜真祭さんの方がありそうなので、1が深海いわしさんってコトで。

  • C-1“毒”→深海いわしさん
  • C-2“舞夜空(まいよぞら)”→文月夕さん
  • C-3“ジンニーと魔法の絨毯”→天菜真祭さん
  • C-4“起源の探査”→マル太さん
  • C-5“クウジュ”※注→柳暗波瑠さん
  • C-6“ボクらの、冒険前夜。”→宮武鳴さん
  • C-7“鏡よ鏡”→凌雪さん
  • C-8“Deserter's 45 minutes”→土岐さん
  • C-9“私と私の黒のこと”→梅原タロさん
  • C-10“てるてる坊主の気持ち”→鶏米チャボさん
  • C-11“ふりさけ見れば春日なる”→羽津樹透夜さん
  • C-12“三つ葉”→よもぎの森さん


じゃあこれで行ってみよう。何か何処かで間違ってる気がするケドな!


(080219追記)こっちに推理のやり直しを出した。